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主催オンラインセミナーのご報告(2)質問へのご回答
2020年8月、SDGsをテーマにした2つのオンラインセミナーを開催いたしました。
中部経済新聞ほか新聞各社に掲載いただいたこともあり、多くのご参加をいただきました。ありがとうございました。
今回は、8月27日開催「統合・CSRレポートの独自調査~SDGs開示の視点から~」でいただいたご質問について、講師より回答いたします。
※セミナーの概要報告については下記記事をご覧ください。
「主催オンラインセミナーのご報告(1)」
8月27日の当社主催セミナー「統合・CSRレポートの独自調査~SDGs開示の視点から~」に多数の方にご参加をいただき誠にありがとうございました。
時間の都合により当日お答えできなかったご質問について、回答させていただきます。
■質問1:
SDGD勧告に従って開示しない場合、どのような悪影響がでるでしょうか(融資を受けられないとか、株価に影響するとか)
■回答1:
SDGD勧告において上記についての記載はありませんが、融資を受けるにあたり有利になることはあっても、開示をしないからといって融資を受けられないといった事態にはならないと考えています。
株価についても、SDGD勧告への対応が確実に影響するとはいえませんが、SDGD勧告をはじめとする、様々な勧告やガイドライン、フレームワークやマテリアリティへの対応が、総合的に株価に良い影響を与えることはあり得ると考えます。
■質問2:
マテリアリティを特定するために、経営層を説得するにはどうしたらよいでしょうか。
■回答2:
取り組むことで得られるメリット、取り組まないことで生じうるデメリットを挙げてはいかがでしょうか。
前者の一例として、講義で紹介しましたように、マテリアリティに取組む企業の方が取組まない企業よりも時価総額・株価指数ともに高い傾向にあります。
後者の例としてはSRI等のアンケートにおいて、マテリアリティの有無を問う質問が増えてきていることが挙げられます。
■質問3:
環境報告書からCSR報告書へ移行する場合、分配した経済価値を付けるということですが、事業コスト、給与、コミュニティ投資等は具体的にどのように開示すればよいのでしょうか。
■回答3:
こちらについてはGRIスタンダード200番台を参照していただければと思います。
■質問4:
すでにコロナへの対応を報告している統合報告などご存じでしたら紹介ください
■回答4:
例年多くの統合報告書が8月前後に発行されますが、今年はコロナウィルス感染拡大の影響もあって遅れているため、調査時点(2020年5月1日)で開示されている報告書はほとんど見受けられませんでした。
しかし2020年9月時点では開示がかなりされていますので、直近で発行されている報告書を探してみて下さい。
■質問5:
報告書内においてコロナへの対応を大きく取り上げるべきでしょうか
■回答5:
投資家等の関心は高いので、企業としての方針や体制については開示したほうがよいと思います。
報告書は基本的に年次ですから、発行時に大きく取り上げても、その後1年の間に状況が変わり、異なる対応を迫られることがあり得ます。報告書とあわせてWebサイト等で適宜情報発信をしていくことが重要になると思います。
■質問6:
コロナの影響で今後報告書の発行数は減るのでは?
■回答6:
混乱の影響で一時的に発行の停止を余儀なくされる企業があるかもしれませんが、その後もとに戻るであろうと考えています。
その理由は、講義の第3部でご紹介したように、コロナ禍でむしろコロナへの対応を含むESG開示の機運が高まっているためです。
■質問7:
後半で、マテリアリティはリスクと機会とセットであるべきとおっしゃいましたが、どのような理由でしょうか?
■回答7:
社会課題やSDGs等からマテリアリティを抽出しますが、リスクと機会の分析なしでは投資家等からの評価が向上するとはいえません。
従ってマテリアリティを抽出した後に必ずリスクと機会を分析して開示することをおすすめします。
■質問8:
機会とリスクの開示は、事業継続性に関わる部分だけでよいのでしょうか
■回答8:
「事業継続性」の解釈によって回答は変わりますが、機会とリスクはすべて事業継続性に関連しています。
特に最近の傾向として短期的な成果だけでなく長期的な成果が見通せる企業を投資家は評価します。
脱炭素や男女格差など短期で解決できない社会課題は機会にもリスクにもなり、長期的なアプローチを開示する必要があります。
本セミナー内容についてのお問い合わせ、研修依頼や実績照会など、どうぞお気軽にご連絡ください。